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| 年間、200以上のタイトルが出るドイツのボードゲーム(ホントだよ)。 そりゃ、つまらないものもあるけど、‘こりゃ、傑作だあ!’と叫びたくなるようなものが、いつも10くらいあるというのもスゴイ。 でも、こうなると小説と一緒で、どれがおもしろいんだ、とぱっと見ただけではわからなくなる。 そういうときのためにあるのが、これ、ドイツゲーム大賞。正確には‘年間ベストゲーム賞’という名称なんだけれど、もう20年以上も続いていて、いろいろと名作を表彰している。ここで取り上げた『スコットランドヤード』や『カタンの開拓者たち』は、もちろんその受賞作だ。 毎年、候補作が春の段階から発表されて、ファンは、あれだこれだとうるさい。ときどき変な選考もあって、例えば、‘どうして『6ニムト』が大賞をとらなかったんだ?’とか、‘クニツィーアは選考委員に嫌われてるんじゃないか。『ラー』が候補作段階から外されてるぞ’なんてこともある。 ぼくもドイツゲームは毎年50くらい(!)遊ぶけれど、到底全部は無理なので、このゲーム大賞の候補作はとっても参考になる。 今年はどうかな、と思って眺めると、ありましたねえ、 ‘こいつはいい!’というのが。 今回はその紹介で、いってみよう。 タイトルは『ラ・シッタ』、イタリア語で‘都市’という意味だ。 ゲームはアイデア、というけれど、このゲーム、これまでにない思いつきを実際に展開したところがいい。 ひとことで言おう。これは、コンピュータゲームの『シビライゼーション』や『シムシティ』を、なんとボードゲーム上で再現してるような、そんなゲームなのだ。 これは、ひとつの逆転の発想だろう。 ボードゲームが昔からあって、コンピュータゲームはそれを一人でも遊べるように、という感じで出てきたものだからね。 もちろん、ボードゲームだから、ここでは文明数千年の進歩なんて、大掛かりなスケールはない。背景はイタリアルネサンス期の都市国家、数十年の歩みみたいなものだ。そして、ルールはもちろん、簡単になっている。 プレイヤーはボードの自分の都市に、毎回広場や、公衆浴場、大学みたいな施設をくっつけていく。こうして都市を広げ、人々が暮らしやすいような街を作っていくのだ。そうすると、人口も増えやすくなる。 街の人々、これがすごい。ボックスには色とりどりの小さなフィギュアが百個以上入っていて、これ一つが街の人々一千人を表わすのだ。しかもこれ、ちゃんと男女の2種類作ってあるという凝りよう。ゲームには直接関係ないんだけれど、ここまでやってもらえると嬉しくなる。 でも、人口が増えてきても、喜んでばかりはいられない。ちゃんと、農場を農地のそばに作っていかないと、食料が不足して、人々が去っていってしまうからだ。また、山のそばに鉱山も掘らないと、お金が不足して、いろんな文化施設が建てられなくなる。 このゲームに戦争はない。でも、都市同士の文化発展競争はシビアだ。衛生施設、教育施設、文化施設が優れていないと、都市同士が発展して近づいたとき、優れた街へと人々が流出していってしまうからだ。人のいない街は、やがてすたれ、滅びていく。 ゲームは、より多くの人々を養った都市国家の勝ちだから、この流出を防ぐのがなかなか大変。逆に、人々が多く集まれば集まるほど、彼らの健康、知識、娯楽への要求や不満は強まっていくから、こちらも施設を改良して維持に気をつかう。 どうだろう、まさしく『シビライゼーション』『シムシティ』のおもしろさじゃないか。 とにかくぼくが気にいったのは、これまでのボードゲームに多い戦争など直接の対立より、街造りという一人遊び風のおもしろさに、多人数ゲーム独特の戦略的なからみをうまくブレンドしてある点。‘生めよ増やせよタイプの農業国家’や‘強大な文化帝国’‘リゾート型の小型環境万全都市’など、いくつかのモデルがすぐに思いつくし、それに沿ってある程度作れたところで、他のプレイヤーと競いあいになるところが楽しい。 ボードも駒もカードもすばらしく美しいし、難点は2時間くらいかかるところくらいだろうか。今年のドイツゲーム大賞はこれで決まりだね、くらいぼくは気にいっている快作だ。 |