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この夏はなかなか厳しかった。暑かったせいもあるが、立て続けにコンベンション(ゲーム大会)に参加して、少々へばった。
特にゲームは、コンベンション独特のお祭騒ぎに加えて、自分もプレイしないともったいないということもあり、かなり体力がいる。
でも、それを補ってあまりある魅力があるのも事実だ。
新製品の発表、そこでしか買えない作品やオークション、おもしろいショーやセミナー、腕に自慢の連中があつまるトーナメント(競技会)、別にそれが嫌なら、普通にゲームもいろいろできる。そして、何より、おもしろそうなサークルや気のあう友達を見つけられることもよくある。
こうしたコンベンション、誰でも最初参加したときは、いろいろあるイベントに右も左もわからず、あっというまに終わっているのが普通だろう。だけど、その中で、自分にあうものを1つでも見つけてしまうと、ついつい楽しくなって、もう一度参加してしまう。そうなると、もう泥沼だ(笑)。
実はこれ、“コンベンション”という言葉自体が表わしていて、大会・集会という意味以外に、慣行・習慣というのも含まれているのだ。例年あるし、何回も行くから“コンベンション”というわけ。
アナログゲームのコンベンションもいくつかあって、いろんな分野にまたがる大きなものは海外で3つある。この前も書いたアメリカのオリジン(ORIGINS)とジェンコン(GENCON)、それにドイツのエッセン・ゲーム祭シュピール(Spiel)だ。
これらはどれも、参加者が延べ人数で数万人から十万人を超えるという巨大コンベンション。それだけに、週半ばの木曜日から日曜日まで、辺り一帯はお祭騒ぎとなる。
日本では、8月末に東京の晴海で開かれたJGC(ジャパン・ゲーム・コンベンション)が週末の2泊3日で、延べ3000人ほど集まるので、これがいちばん大きなものだろうか。
コンベンションは、先にも書いたように、いろんな楽しみ方があるけれども、それぞれに微妙な特徴がある。
この十数年、けっこうこれらに参加してきたので、今回はそれを書いてみよう。
オリジン(今年で26回目)はもともとは、シミュレーション・ゲーム、なかでもウォーゲームの大会だった。1970年代からアメリカでこれらが盛んになり、その中心メーカーが集まって、盛り上げようということで開かれだした。もっとも、中心のひとつアバロンヒル社がファミリー・ボードゲームも多く出していたので、ウォーゲームだけということもなく、そのうち、SFやファンタジーのボード/カードゲームが流行りだすと、それも取り込み、さらに80年代に入ってRPG(ロールプレイング・ゲーム)が中心になると、かなりの部分をそれに割くようになった。
いわば、‘おもしろいゲームなら何でもあり’のオープンな姿勢がうかがえる。いまでは『マジック・ザ・ギャザリング』のウィザーズ社がスポンサーとなっているが、特にTCG(トレーディング・カードゲーム)寄りということもなく、今年も会場では、ウォーゲーム、RPG、TCG、そして、最近のドイツ製ボードゲームに影響されたアメリカ製のボード/カードゲームなども盛んに展示され、遊ばれていた。
オリジンで有名なものには、オークションとオリジン・アワードがある。オークションはこうした幅の広いゲームがかかわるだけに、いろんなものが集まってなかなか楽しい。オリジン・アワードは、さまざまな分野の年間優秀ゲームに与えられるもの。ちょっと数が多すぎるとはいえ、その年にどんなゲームが目立っていたかを知るには最適だ。
開催地は、以前は全米を移動していたのだが、最近はオハイオ州のコロンバスで定着している。
時期は名前が示すように、毎年アメリカの独立記念日のある7月に行われる。
一方、ジェンコン(今年で33回目)はRPG中心のコンベンションだ。こちらはオリジンよりも早く60年代にスタートしている。その頃は、ウォーゲームなどミニチュアゲームの大会だったが、やがて、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以後『D&D』)というRPGが大流行するとともに、その公式大会となって急成長した。
いまでは、オリジンをしのぐ規模となっている。
もっとも、アメリカ(というより、どこでもだが)の大会らしく、RPG中心といっても、それだけではない。
はじまりからあるシミュレーション系(ミニチュア、ウォーゲーム)や、ボード/カードゲームもそれなりに遊ばれているし、最近ではTCGもカバーされている。
ぼくが驚いたのは、1994年--その年だけ、それまでとは完全に趣が変わって、『マジック・ザ・ギャザリング』をはじめとしたTCGがジェンコンを席捲していた。まあ、当時はRPGがいまひとつになりかけたときでもあったが、それ以上に、出現したばかりのTCGがいかにインパクトが強かったかという証だろうか。
それでも、以後のジェンコンはやはりRPG中心に戻って、特に今年は『D&D』の新しいバージョン(第3版)が出るとあって、再び活気を取り戻したようだ。
ジェンコンはそうしたRPGメインのために、オリジンのようなゲーム全般のバラエティより、他分野の要素も多い。コスチュームショーや演劇的な部分、また、コンピュータゲームとのジョイント企画、小説など作家のサイン会、イラストギャラリーなど、ゲームとストーリーの両面につながっているといってもいいだろうか。
開催地は常に、『D&D』を出してきたTSR社(いまはウィザーズ社が買収)の本拠地ミルウォーキーだったが、近々インディアナポリスに移動するようだ。
時期はオリジンのすぐあと8月に開かれる。
オリジンとジェンコンが、いわば表裏一体となって、アメリカのゲームシーンを映しだしているとするなら、ドイツ製ゲームとファンの盛り上がりを見せつけてくれるのが、エッセンのゲーム祭シュピールだろう。
延べ参加人数は例年15万人(!)。ほとんど日本のコミケなみだ。
新作の発表は2月にあるニュルンベルク国際おもちゃ見本市の方が多いのだが、コンベンションは見本市とはちがう。業者だけではなく、ファンがその場でゲームを買えて、遊べて、わいわいと騒げるのが、コンベンションの楽しいところ。
その意味で、シュピールもオリジン、ジェンコンと同じく、とてもおもしろい。
中心はもちろん、いまやドイツ特産ともいえるボード/カードゲーム群。
新作はニュルンベルクに劣るとはいえ、軽く50を超える。そして、ファンの盛り上がりがすごいと書いたが、事実同人ゲームも数多く出品される。これらの優れたものは、数年後に大きなゲーム会社からリメイクされていくのだ。
それと特徴的なのは、主にファンのボランティアで出品される大量のセコハンゲーム。セコハンといっても、ちゃんと点検され、きれいに再包装されたうえに、かなり安い。これが何万個(誇張ではない)となく、30ほどの店で売られているのだ。時には、とんでもない掘り出し物もある。
そして、これらセコハンゲームの山を、サッカー観戦帰りといった陽気な若い連中はもちろん、乳母車を引いた主婦や、年配の夫婦連れ、バーゲンにでも来たのという感じのおばさんたちが、あれこれ品評しながら、いくつも買っていく。最初に見たときには、ホント唖然としてしまった。ここは確かに“ボードゲームが家庭に定着した国”なのだ。
けれど、ゲームはボードゲームだけじゃない。
シュピールでも、3割くらいはRPGとTCGが占めていて、これらの分野では若い層が中心になっているのはまちがいなかった。
このコンベンションの特徴は、昼間だけ行われるというもの。アメリカのように泊まり込みで夜を徹してまで、ということはない。やはり、ボードゲームが中心だとプレイ時間が短いので、そこまでする必要がないのか、それとも、人数は多いがあっさりしているのがヨーロピアンスタイルなのか、その辺はわからない。
開催地はドイツ北部のエッセン。
時期は10月に行われる(今年も行く予定)。
ということで、日本のJGC(今年で5回目)についても触れてみよう。こちらは、アメリカのオリジン、ジェンコン型。つまりホテルに2泊3日の泊まり込みスタイルだ。別に昼間だけの参加もOKで、どちらをとるかは参加者次第。だいたい7:3くらいで、宿泊組の方が多い。
ゲームはRPGとTCGが中心。でも、最近はボードゲームも着実に増えてきている。長時間かかるシミュレーションゲームが少ないのは、少し残念だが、それでも、『ディプロマシー』や『ヒストリー・オブ・ザ・ワールド』などがプレイされていたのは、ぼくには嬉しかった。もちろん、コントラクト・ブリッジをはじめとしたトランプゲームや将棋なども、少ないながら行われている。
もともとRPGのコンベンションから発展してきているので、その流れはしっかりとしている。大きな広間が2つあり、そのうちの1つは、アクティブなファンが前もって遊ぶゲームを決めてパンフに載せ、当日インストラクション(RPGならゲームマスター)に当たる。参加者はそのタイトルを予め見て、どれを遊ぶか自由に決めるわけだ。
例年にもまして、今年はRPGのタイトルにバラエティがあり、定番の『ソード・ワールド』や『ガープス』、『D&D』などの他に、新作はもちろん、『T&T』、『トラベラー』、『ルーンクエスト』、『ファイティング・ファンタジー』、『クトゥルフ』、さらにはもっとマイナーなものまであったのは、感激ものだった(数百セッションが行われたはずだ)。
もう1つの大きな広間では、まったく自由なフリープレイ(TCGの対戦やトレード、RPG、ボードゲーム)と、いろんなイベントが行われている。イベントは一口で説明できないくらいさまざまで(例えば、ある鉄道ボードゲームをジオラマに見立てたプラレールで遊ぶ)、JGC2000では80ほどが行われた。
セミナーやもっとクローズドな環境が必要なもの(参加者の転がすサイコロが数千個!)は、6つある中くらいの部屋で行われる。
TCGの全国大会決勝などは、晴海客船ターミナルの大ホールで行われた。場所が少し離れているのが難点だが、こちらはこちらで大きな収容スペースが必要なので、仕方ないだろう。
一言でいうと、スタイルとしては、オリジンとジェンコンの中間くらいという感じで、かなり楽しめるものになってきていると思う。
これからもっと充実してほしいものには、物販スペースがあるだろう。名前がそっけないように、まだショップ関係が10店くらいしか入っていない。もちろん、それでも新作ゲームはずらっと並んでいるので、ふだん買えない人には朗報なのだが、発想がショップ(ゲームを売ること)しかないから、なにか単調だ。例えば、書籍を売るとか(RPGのシナリオやシミュレーションの資料には必要)、装飾品(コスチューム、細工品関係)、なかなか手に入らない古いゲームや本、さらには、新作ゲームのデモなんかもこうしたところで行うと、もっといろどりがでて楽しいと思う。
海外のコンベンションでは、こうした販売ブースにゲームデザイナーや作家がいて、そこを訪れて遊ぶなり、おしゃべりをするのも参加者のひとつの楽しみになっている(いつもいつもはいてくれないけどね)。
もちろん、そうした点もだんだん改善されてはいくだろう。
日本のゲームコンベンションは、始まってまだ間もない。おそらく、ゲームの発展や成熟とコンベンションは密接にかかわっているはず。
興味のわいた人は、とりあえず、来年3月に大阪、8月に東京である、JGCに参加してみたらいかがだろう。
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